薬食同源~身近な生薬 2011年9月~
今月も食べ物“山芋”のお話です。
残暑が続きますが朝晩は涼しく、季節は秋に移っております。この季節、皆さま、夏の疲れを残していませんか?
そんな方には秋の山の恵み、山芋はお勧めの食材です。来月10月から春頃までが収穫期、旬を迎えます。千切りで生サラダもさっぱりと美味しいですし、お好み焼きのつなぎや、天ぷら、もちろんとろろ汁(図1 実家近くの東名日本坂PAでいただきました。胃が重いときに後が楽な昼食になりました。)などなどいろいろな形で楽しめますね。
山芋の成分は、デンプン、粘液質(ねばねばのムチン)、消化酵素であるアミラーゼが含まれていて、滋養強壮、ムチンの胃粘膜保護作用が知られています。
この山芋ですが、乾燥させたものを“山薬”と呼び、漢方で主要な生薬の一つです。地黄・山茱萸と組んで強壮・アンチエイジン効果のある “六味丸”・“八味丸”、胃腸虚弱の方の慢性下痢・消化不良には、蓮肉(止瀉作用)やサンザシ(消化酵素(プロテアーゼ)含有)と配合した“啓脾湯”があります。
山芋には滋潤(うるおす)作用があり、夏のじめじめが去り涼しくなって乾燥傾向にある季節にはぴったりです。
<山薬(さんやく)>
○ヤマノイモ科 Diosicoreaceae 薯蕷(しょよ)Dioscorea batatas Decne.(ナガイモ)の塊状根を乾燥したもの
味:甘 性:微温 (肺・脾経)
主成分 saponin, arginine, allantoin, amylase, choline, 粘液質など
薬理作用 補脾胃・益肺腎
滋養: 栄養成分、粘液質、アミラーゼが関連し、消化を助け滋養強壮作用を有する。
ほか、止瀉作用・去痰作用。
2011/09/26 執筆: 横山 浩一 医学博士