仕事中や会議中に、予期せず顔がカッと熱くなる。
夜中に突然のほてりと大量の汗で目が覚めてしまい、寝不足気味。
朝起きると、指の関節がこわばって動かしづらい。
そんな症状に加えて、「なんだかやる気が出ない」「だるい」「イライラする」「落ち込む」などの不調も感じていませんか?もしかしたら、それは更年期を迎えたサインかもしれません。
ホルモン補充療法には少し抵抗があるけれど、この不調をどうにかしたい、と考える方も多いでしょう。漢方薬は、そんなあなたの強い味方になってくれる可能性があります。
更年期に多くの女性が経験する「ほてり」や「ホットフラッシュ」。これらの不快な症状は、女性ホルモンである「エストロゲン」の急激な減少が主な原因です。
エストロゲンが減ると、脳の視床下部にある自律神経のコントロールセンターが混乱し、体温調節がうまくいかなくなります。その結果、実際には暑くないのに体が「暑い」と勘違いしてしまい、血管を広げて熱を逃がそうとしたり、汗を出したりするのです。
一方、漢方医学では、ほてりの原因を少し違う角度から捉えます。主に、加齢によって体の潤いが不足する「腎陰虚(じんいんきょ)」や、ストレスによってエネルギー(気)の巡りに異常を生じる「気逆(きぎゃく)」「気鬱(きうつ)」などが原因と考えます。漢方薬は自律神経のバランスを整えるだけでなく、体質そのものに働きかけ、つらい症状を根本から和らげていくことを目指します。
漢方薬に興味はあるけれど、「本当に効くの?」「副作用はないの?」といった不安を感じる方も多いでしょう。
漢方薬を安心して始めるために、よくある質問とその答えをまとめました。疑問を解消して、納得のいく一歩を踏み出しましょう。
漢方薬は、症状を一時的に抑えるだけでなく、体質そのものを改善していくことを目的としています。そのため、西洋薬のように飲んで数時間で効果が現れる、というものではありません。
効果の現れ方には個人差がありますが、一般的にはまず1〜3ヶ月程度を目安に服用を続けることが推奨されます。焦らずに、ご自身の心と体の変化をじっくりと観察することが大切です。心身の変化については、次回の受診日に漢方専門医へお伝えください。
効果が出ない場合は、「選んだ漢方薬がご自身の体質に合っていない」ことが考えられます。そんな時は、諦めずに漢方専門医に相談しましょう。
また、「漢方専門医」といえど、それぞれが得意とする分野は異なります。ほぼ漢方薬のみを処方する、経験豊富な漢方専門クリニックを受診しましょう。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。漢方専門医と相談しながら、あなたにとって最適な漢方薬を一緒に見つけていきましょう。
「漢方薬は自然由来のものだから、副作用はない」と思われがちですが、それは誤解です。医薬品である以上、副作用を生じる可能性があります。
もし、漢方薬の服用を始めてから体調不良を感じたら、いったん服薬を中止しましょう。
また、他に服用している薬やサプリメントがある場合は、必ず事前にお知らせください。複数の医療機関から漢方薬を処方されることも、お勧めしません。
更年期障害の治療法として、漢方薬と並んでよく知られているのが「ホルモン補充療法(HRT)」です。それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 漢方薬 | ホルモン補充療法(HRT) | |
| アプローチ | 体全体のバランスを整え、体質から改善する | 不足した女性ホルモンを直接補充する |
| 効果の現れ方 | 穏やかで、時間がかかることが多い | 比較的速やかに症状が改善しやすい |
| メリット | - 全身の様々な不調やイライラなどにも対応できる - 副作用のリスクが低い - 乳がんや婦人科疾患の既往など、HRTが適さない人でも選択できる |
- ほてりや発汗に特に高い効果が期待できる |
| デメリット | - 効果が出るまでに時間がかかる - 体質に合わないと効果が出にくい |
- 副作用(不正出血、乳房の張りなど)がある - 血栓症や乳がんなどのリスクがわずかに上がるため、定期的な婦人科通院が必要 - 乳がんや婦人科疾患の既往がある場合は、使えない |
どちらか一方だけでなく、HRTでほてりなどを抑えつつ他の症状については漢方薬で体質改善を図るなど、両方を組み合わせる場合もあります。どちらの治療法が最適かは、あなたの症状や健康状態、そしてライフプランによって異なります。
更年期に現れる突然のほてりや発汗、気分の落ち込み・イライラは、普段の生活の質を低下させるつらい症状です。それは決してあなた一人の悩みではありません。多くの女性が経験する自然な心身の変化であり、適切な治療で穏やかに乗り越えることができます。
漢方薬は、ひとりひとりの体質や症状に寄り添い、心と体のバランスを根本から整える手助けをしてくれます。最も大切なのは、自己判断で漢方薬を選ばず、必ず漢方薬の専門家に相談することです。ゆらぎの時期を上手に乗りこなし、あなたらしい穏やかな毎日を取り戻しましょう。
文責:岡本英輝
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