経血の出方や生理周期から、体の不調を知る
「毎月の生理がつらい、鎮痛剤が手放せない…」
「ピルも考えたけど、副作用やホルモンへの影響がなんとなく不安…」
生理痛や生理不順の悩みを、一人で抱えていませんか?
「最近、生理の様子が変わってきている…」
そんな体のサインに気づいていませんか?「年齢のせいだから」と、諦めていませんか?
生理の正常なあり方を知るのは、自分のあるべき健康状態を知ることです。
経血の出方や生理周期がこれまでと違うのは、自分本来の健康状態から外れつつあるというサインでもあります。
そんなあなたに、漢方による体質改善を提案します。
漢方では、つらい症状を一時的に抑えるだけでなく、不調の根本原因に働きかけることを目指します。
不調の背景には、必ず何らかの原因が隠れています。
生理不順や生理痛は、ホルモンバランスの乱れや冷え、ストレスなどが複雑に絡み合って起こります。これらのバランスの乱れを放置すると、将来の健康、特に妊娠を考えたときに影響が出る可能性も指摘されています。
漢方医学の視点から、自分の体の状態の全体像を把握することが、改善への第一歩です。
漢方では、「気血水」「五臓論」「陰陽虚実・表裏寒熱」「六病位」などの様々な概念から、体の不調の根本原因を捉えます。
まずは自分の体の声に耳を傾け、不調の原因を探ってみましょう。
| 基準項目 | 目安 |
| 1 生理周期 | 25日~38日の範囲 |
| 2 生理期間 | 3~7日間 |
| 3 経血量 | 20ml~140ml |
| 4 経血の色 | 鮮やかな赤色から始まり、徐々に暗い色へ変化 |
| 5 経血の状態 | ときおり小さなレバー状の塊が混じる程度 |
| 6 生理痛 | 市販の鎮痛薬でコントロールでき、日常生活に支障がない |
| 7 PMS | 症状が軽く、日常生活に大きな影響がない |
これらの基準はあくまで目安であり、個人差があります。
では7つそれぞれの基準について、以下で詳しく見ていきましょう。
正常な生理周期は、25日~38日の範囲が目安とされています。
生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数のことです。この周期が安定していることは、女性ホルモンのバランスが整っているサインでもあります。
ただし、毎月ぴったり同じ日数でなくても問題ありません。周期の変動が数日以内であれば、正常範囲内と考えてよいでしょう。
出血が続く生理期間は、3日~7日間が正常な範囲です。
この期間は、子宮内膜の厚さなどによって個人差があります。
もし生理が2日以内で終わってしまう「過短月経」や、8日以上だらだらと続く「過長月経」の場合は、注意が必要です。
1回の生理期間における経血量の正常な目安は、合計で20ml~140mlとされています。
しかし、実際に経血量を測ることは難しいですよね。経血量を測る最も分かりやすい指標の一つが、ナプキンの交換頻度です。昼用のナプキンを2〜3時間ごとに交換する・夜用ナプキンで朝まで漏れずに眠れるのが理想的です。
もし、昼間でも夜用ナプキンが必要だったり、吸収力の高いナプキンを使っても1〜2時間で交換しないと漏れてしまうような状態が続く場合は、経血量が多すぎる「過多月経」のサインかもしれません。
夜間の経血量もチェックポイントです。寝ている間は体を横にしているため経血が出にくい傾向にありますが、それでも夜用の大きなナプキンが朝までに経血でいっぱいになったり、途中で交換しないと漏れてしまったりする場合は、量が多いサインといえます。
逆に、少量用ナプキンやおりものシートで足りてしまったり、夜はほとんど経血が出ない場合は「過少月経」かもしれません。
経血の色は、生理の時期によって変化するのが普通です。
生理の始まりは、子宮から排出されたばかりの新鮮な血液であるため、鮮やかな赤色をしています。そして終わりが近づくにつれて、血液が空気に触れて酸化し、暗い赤色〜茶褐色に変わっていきます。
この色の変化は正常なものなので、心配する必要はありません。ただし、最初から最後まで黒っぽい経血しか出ない場合は、本来の健康状態から外れているというサインかもしれません。
生理中に、ドロッとしたレバー状の塊が出てきて驚いた経験はありませんか。これは、剥がれ落ちた子宮内膜の一部や、排出しきれなかった経血が固まったものです。
経血量が多いときに一時的に見られることがあり、小さなものであれば特に心配はいりません。しかし、親指大(約2~3cm)を超えるような大きな塊が毎月のように出る場合は、経血量が多すぎる「過多月経」のサインかもしれません。
生理痛の有無や程度には大きな個人差があります。
生理痛があること自体は、異常なことではありません。大切なのは、その痛みの「程度」です。
市販の鎮痛薬を飲めば痛みが和らぎ、普段通りの仕事や学校生活を送れるのであれば、正常範囲内と考えてよいでしょう。
もし鎮痛薬が十分に効かない・痛みで寝込んでしまうなど、日常生活に支障が出るほどの痛みであれば「月経困難症」という治療が必要な状態かもしれません。
生理が始まる前に感じるイライラや気分の落ち込み、体の不調などはPMS(月経前症候群)と呼ばれます。
多くの女性が経験する症状であり、これがあること自体は異常ではありません。ここでも重要なのは、その「程度」です。
症状が比較的軽く、日常生活に大きな影響を及ぼさないのであれば、心配しすぎる必要はありません。
しかし、症状が重く、仕事や人間関係にまで支障が出てしまう場合は、漢方治療も選択肢の一つになります。
生理の状態は、ちょっとした体調の変化やストレスでも変動します。
生理は、女性ホルモンの繊細なバランスによってコントロールされています。そのため、心や体の状態に大きく影響を受けやすいのです。
特に、以下のような要因はホルモンバランスを乱し、生理不順を引き起こすことがあります。
これらの原因に心当たりがある場合は、まず生活習慣を見直すことが大切です。
バランスの取れた食事や十分な睡眠、リラックスできる時間を持つことで、ホルモンバランスが整い、生理の状態が改善することがあります。
上記の7つの基準をもとに、ご自身の生理の状態を客観的にチェックしてみましょう。
| 質問項目 | はい / いいえ |
| 生理周期が24日以下になることがよくある | |
| 生理周期が39日以上になることがよくある | |
| 前回の周期との差が8日以上ずれることがよくある | |
| 生理が2日以内で終わってしまう | |
| 生理が8日以上だらだらと続く |
| 質問項目 | はい / いいえ |
| 昼用ナプキンが1時間もたないほど出血量が多い | |
| 夜用ナプキンを使っていても、夜中に交換が必要なことがある | |
| 生理が始まって2~3日目は、外出するのが怖いほど量が多い | |
| 大きなレバー状の塊(親指大以上)が毎月のように出る | |
| 経血量が極端に少なく、おりものシートで足りてしまう | |
| 経血の色が常に薄いピンク色や茶褐色である |
| 質問項目 | はい / いいえ |
| 市販の鎮痛薬が十分に効かないほどの生理痛がある | |
| 生理痛が原因で、仕事や学校を休んでしまうことがある | |
| 生理中以外にも下腹部痛や腰痛がある | |
| PMSの症状(イライラ、抑うつなど)で人間関係に支障が出ている |
上記の項目のうち、もし一つでも当てはまる場合は、一度ご自身の体と向き合うきっかけにしてください。
「とにかく痛み止めを飲めば、何とかなる」と思っても、それは一時的な対処に過ぎません。漢方治療では、痛みや不調が起こりにくい体質へと根本から変えていくことを目指します。ピルに抵抗がある方にとっても、漢方は体に優しく働きかける選択肢となります。
| 治療法 | アプローチ | メリット | デメリット |
| 鎮痛剤 | 対症療法 (痛みの原因物質を抑える) |
・即効性がある ・痛みを素早く和らげる |
・根本的な解決にはならない ・胃腸への負担がかかることがある |
| 低用量ピル | ホルモン療法 (排卵を抑制しホルモンを安定させる) |
・生理痛の軽減効果が高い ・周期が安定する、避妊効果 |
・副作用(吐き気、頭痛、血栓症リスク等)がある ・妊活前に中止する必要がある |
| 漢方薬 | 根本治療 (体全体のバランスを整え体質を改善する) |
・体への負担が少ない ・生理痛以外の不調(冷え、むくみ、頭痛、胃腸症状など)にも改善が期待できる ・妊活にもメリットがある |
・効果を実感するまでに時間がかかる ・体質に合わない漢方薬を飲んでも効果は出ない |
それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を見つけることが大切です。
たとえば、だんだん生理の間隔があく・出血期間が短くなるのであれば、漢方においては「血虚(血が足りない)」状態が進行していると考えます。つまり、「血が足りないから、血を出したくない状態」というわけです。あるいは、生理の間隔が短くなったり、生理による出血量や不正出血が増えたために「血が足りない」状態に陥ることもあります。
漢方でいう「血虚(血が足りない)」状態は、貧血とは限らず、肌の乾燥・髪のパサつきなどの乾燥症状つまり全身の「うるおい・みずみずしさ」の不足を意味します。意外なところでは、白髪や抜け毛、不眠やイライラといった症状も、漢方的には血虚との関連を疑う必要があるのです。
生理痛とは、生理前から生理中に生じる腹部や腰の痛みを指しますが、ほかに頭痛・吐き気・めまい・下痢などを伴うこともあります。この生理痛が日常生活に支障をきたすほど強い場合を、月経困難症といいます。
漢方においては、生理痛を生じる原因を「血虚(けっきょ。血やうるおいが足りない状態)」and/or「瘀血(おけつ。血のめぐりが悪い状態)」という2つの概念にあてはめ、西洋医学的な診断に関わらず治療を行います。
皮膚の乾燥や荒れ、髪が抜けやすい、爪がもろい・爪周囲の乾燥、唇が乾燥する・割れる、めまい、顔色が悪い、こむらがえり(足がつる、など)、眼精疲労、など
目の下のくま、シミなどの色素沈着、下肢静脈瘤、赤紫~褐色の毛細血管が目立つ、いぼ痔、舌や歯茎の色が悪い(暗赤色)、など
「当帰」というセリ科の生薬を含む漢方(当帰芍薬散、四物湯、温経湯、加味逍遙散など)が頻用されます。
「当帰」とは「当に帰る」とも読めます。昔、なかなか子宝に恵まれず里へ帰された女性が、山へ入ってせっせと当帰を採って食べ、少しずつ肌の乾燥や生理不順が改善して妊娠に適した体調になったことに気づき、愛する夫のもとへ今、「当に帰ります」という意味で名づけられたといわれています(諸説あり)。
また、当帰は「Angelica root」として非常に有名な西洋ハーブでもあります。Angelicaの語源は「天使(angel)」であり、当帰は「天使のように婦人の諸病を癒す」あるいは「天使のような子宝に恵まれる」薬草として名付けられたといわれています(諸説あり)。つまり当帰は、東洋でも西洋でも同じような効能を謳われてきたといえるのです。
牡丹皮という牡丹の根っこの皮や、桃仁という桃の種の一種を含む漢方(桂枝茯苓丸など)が頻用されます。
牡丹皮や桃仁とともに、昔はヒルやアブを乾燥したもの(それぞれ水蛭、虻虫といいます)も瘀血を改善する生薬として使われていました。ヒルとアブ、どちらに血を吸われても血が止まりにくくなるのをご存じでしょうか?まだワーファリンなどの抗血液凝固薬が無いはるか昔から、自然界に存在する循環改善薬として、ヒルやアブ、そして牡丹皮や桃仁が使われてきたのです。
現代では、様々な事情によってヒルやアブの生薬はほほ淘汰され、やや効力は劣るものの牡丹皮や桃仁が「瘀血」を改善する主たる生薬として使われています(当院ではヒルやアブは扱いませんので、ご安心ください)。
漢方薬を試してみたいけれど、まだ少し不安や疑問があるかもしれません。
ここでは、漢方初心者の方が抱きがちな質問にお答えします。正しい知識を持って、安心して漢方ライフを始めましょう。
市販薬と病院で処方される(医療用の)漢方薬の最も大きな違いは、有効成分の含有量です。一般的に、医療用の方が成分量が多く、効果が期待しやすいとされています。
まず手軽に試したい方は市販薬から、より自分の体質に合ったものを専門家に選んでほしい方は医療機関を受診して処方薬を選ぶのがおすすめです。
| 比較項目 | 市販薬 | 処方薬(医療用漢方薬) |
| 成分量 | 比較的少ない | 比較的多い |
| 価格 | 全額自己負担 | 保険適用(3割負担など) |
| 入手方法 | 薬局・ドラッグストア | 医師の診察・処方箋が必要 |
| 選び方 | 自己判断(薬剤師に相談可) | 医師が体質(証)を診断して選択 |
漢方薬は体質を根本から改善していくため、効果を実感するまでには少し時間がかかります。早い方で2週間、一般的には1〜3ヶ月程度の継続服用が目安とされています。
また、「漢方は副作用がない」と思われがちですが、医薬品であるため副作用のリスクはゼロではありません。代表的なものには、胃もたれや食欲不振、下痢などの胃腸症状があります。万が一、体に合わないと感じた場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。
他の薬を服用している場合は、飲み合わせに注意が必要です。特に、複数の漢方薬を自己判断で併用すると、特定の生薬成分(甘草など)を過剰摂取してしまう可能性があります。
まれに西洋薬との相互作用が起こることもありますので、常用している薬がある場合は、購入・服用前に必ず医師や薬剤師に伝えてください。
過度なストレスや環境の変化などで、一時的に生理周期が乱れることは誰にでも起こり得ます。漢方は、こうした一時的な体のバランスの乱れを整えるのにも役立ちます。
慢性的な不調だけでなく、「最近ちょっとバランスが崩れているな」と感じたときに、セルフケアの一環として取り入れるのも良いでしょう。
生理のたびに不調を感じるのはつらいものです。
ここでは、日々の生活で取り入れられるセルフケアをご紹介します。自分の体をいたわる習慣を身につけて、健やかな毎日を目指しましょう。
生理期間中は、体の冷えが血行不良を招き、痛みを悪化させることがあります。意識して体を温める食事を心がけましょう。
また、ホルモンバランスを整えたり、貧血を予防したりするために、以下の栄養素を積極的に摂るのがおすすめです。
| 栄養素 | 期待できる効果 | 多く含まれる食品の例 |
| 鉄分 | 貧血の予防・改善 | レバー、赤身肉、ほうれん草、小松菜、ひじき |
| ビタミンB6 | ホルモンバランスを整える | マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ、玄米 |
| マグネシウム | 子宮の過度な収縮を抑える、精神を安定させる | 大豆製品、ナッツ類、海藻、緑黄色野菜 |
| カルシウム | イライラを和らげる | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚 |
| ビタミンE | 血行を促進する | アーモンド、かぼちゃ、アボカド |
冷たい飲み物や食べ物はなるべく避け、温かいスープやハーブティーなどを取り入れるのが良いでしょう。
生理痛がつらいときは動きたくないかもしれませんが、軽い運動は血行を促進し、痛みを和らげる効果があります。ウォーキングやヨガ、ピラティスなど、心地よいと感じる範囲で体を動かしてみましょう。
特に、骨盤周りの血流を良くするストレッチはおすすめです。就寝前などリラックスした時間に行うと、痛みの緩和だけでなく、気分のリフレッシュにもつながります。
睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスの乱れに直結します。毎日7~8時間の質の良い睡眠を確保するよう心がけましょう。就寝前にスマートフォンを見るのをやめ、部屋を暗くしてリラックスできる環境を整えることが大切です。
また、ストレスを完全に無くすことは難しくても、自分なりの解消法を見つけておくことが重要です。アロマを焚いたり、ゆっくり半身浴をしたり、好きな音楽を聴いたりする時間を意識的に作りましょう。
生理は、あなたの健康状態を映し出す大切なバロメーターです。まずはご自身の生理周期や経血の状態に関心を持ち、記録することから始めてみてください。
日々の変化に気づき、体の不調に早めに対処することは、あなたの未来の健康を守ることにもつながります。
文責:岡本英輝
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