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漢方歳時記

薬食同源~身近な生薬 2011年8月~

前回の薬食同源は“生姜”のお話でしたが、今月も引き続き身近な食べ物“大葉”の話題です。

昨年、紫蘇の苗を植えた田舎の裏庭。今年はそこにこぼれ種が拡がって、雑草のように生い茂り、7月に入ると足を踏み入れるのも大変な有様でした。もっと小さい芽のうちに間引くべきであったと思うと同時に、強い植物だなと感心したものです。園芸用には赤や黄色の入ったカラフルな種もありますが、植えたのは食用の青紫蘇。摘んでも次々に拡がる青く水々しい葉は、この季節に重宝する食材です。大根おろしに刻んで添えたり、天ぷらにしても、豚バラ肉で巻いて焼いてもさっぱりとして美味ですね。丈夫な植物で、鉢植えでも楽しめます。

紫蘇(図1)

そんな大葉、紫蘇の葉(図1)も身近な生薬の1つです。後漢の名医、華佗が蟹毒に当たった患者にこれを煎じて蘇らせたという逸話から“蘇葉(ソヨウと読みます)”と呼ばれるようになったと言われ、その葉には食毒を解する作用が知られています。刺身の付け合わせにされるのは、生活の知恵なのかもしれませんね。(ただし食毒には蘇葉30-60gを(時に生姜を配合して)煎じるようですが・・・こんなに食べるのは無理ですね。治療でも私は実際には試した経験はありません。)

現代の漢方では紫蘇の葉を乾燥させたものが「蘇葉」、種子を乾燥させたものが「蘇子(ソシと読みます)」で、いずれも生薬として用いています。エキス製剤では蘇葉はだいたい2-3g程度を用いられています。

“蘇葉”は穏やかな発汗作用や胃腸機能改善作用と食あたりに応用され、代表的処方として“参蘇飲”(胃腸虚弱者の風邪薬)、“半夏厚朴湯”(胃炎や妊婦さんの悪阻にも用いられる処方)、また風邪とともに頭痛やじんま疹にも効能がある“香蘇散”という処方があります。

種の方の“蘇子”には鎮咳作用があり、蘇子降気湯という煎じ薬は肺気腫や喘息に用いられます。こちらはエキスにはありませんが、煎じ薬では対応が可能な処方です。

同じ植物でも、使う部位によって生薬としての作用が違い、経験的に・実践的に使い分けてきたというのは興味深いところです。

紫蘇葉(しそよう) 蘇葉(そよう)

<紫蘇葉(しそよう) 蘇葉(そよう)>
○シソ科 紫蘇(Perilla frutescens Labiatae)葉を乾燥したもの
○味:辛  性:温 (肺・脾経) 
○主成分 perilla aldehideなど
○薬理作用
発汗解表:穏やかな発汗作用で感冒に用いられる。
行気寛中:胃腸機能を調整し消化を助ける。妊娠悪阻にもよい。
解魚蟹毒:魚貝類による中毒で嘔吐・下痢・腹痛に用いられる。

蘇子(そし) 紫蘇子(しそし)

<蘇子(そし) 紫蘇子(しそし)>
○シソ科 紫蘇(Perilla frutescens Labiatae)種子を乾燥したもの
○味:辛  性:温 (肺経)
○主成分 精油 ビタミンB1
○薬理作用  下気定喘 止咳消痰 寛胸解鬱

2011/08/01 執筆: 横山 浩一 医学博士